2007年6月23日土曜日

桃山の御料局三角点、宮標石

<栗栖遊歩道 桃山ルート>


川平ルートから桃山ルートへと入りました。

桃山ルートの目的は、第一に宮標石と御料局三角点の再確認、第二に名勝木曽川の写真撮影です。



以前、桃山ルートでは、4つ宮標石と1つの御料局三角点を確認しています。







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写真は、2点とも御料局三角点より北にある宮標石です。



宮標石は、御料局の境界標石で「界標」と呼ばれます。附属標として「探求標」と「指導標」が御料地境界踏査規程(明治32年)に定められており、ウ冠が広く丸みを帯びた宮内省を意味する「宮」の記号が刻印されています。



境界測量によって設けられた界標は当初は木柱(木標)が多く使用されたようです、1914年(大正3)以降は界標20点ごとに3点の標石を用い、さらに重要な境界は全部標石としました。[帝室林野局:帝室林野局五十年史 1939]



そして、次に桃山頂上にある御料局三角点。犬山には、他に本宮山麓、八曽国有林にあります。





明治時代、国有林の中でも皇室の財産であった森林は、宮内庁御料局というところが管理していました。管轄林の管理のため、定期的に森林の面積をはかる測量をしていましたが、このための基準点として設置されたものが御料局三角点でした。

このあたりは、かつて犬山城附山として、成瀬家が支配していました。犬山市史によれば、その目的は犬山城の維持管理のためではないかとしています。そして、独自に山方役所を置き、山奉行が設けられました。その支配は、14の村々に及んでおり、現在の春日井市、小牧市、多治見市、可児市に隣接した広大な犬山城附山のことを総称して「八曽」と呼んでいました。そのような山林はやがて官有林となり、国有林、東大演習林と引き継がれていきました。

犬山には、宮印の付いた標石が数多く残っています。本宮山とその付近、八曽の内津峠へ抜ける道一帯、継鹿尾山一帯、栗栖桃山ルート、石原ルートなどなど。まだまだ探せば出てくる可能性も高く、なぜこの地に御料局三角点、宮標石がこのようにたくさん残っているのかは、大きな謎です。案外、尾張藩から独立して行われた成瀬家の徹底した八曽支配のおかげなのかもしれません。



続いて、木曽川の撮影ポイントに着きました。少々木が邪魔ですが、せっかく来たので写真は撮っておきました。





そして、最後の宮標石を確認し、桃山からの下山を進めました。

久しぶりの山行のため、途中から膝が痛くなりペースがガクッと落ちていました。さらに膝が痛くなってきましたが、降りないわけにはいきません。何とか桃山登山口近くまで苦痛に耐えて降りてきました。



木曽川は日本ラインとも言われ、名勝地に指定されています。指定地の境界を示す「名勝指定地境界」標柱があることを思い出し、写真に納め、栗栖神社へと抜けました。



なお、参考までに、史跡名勝天然記念物の境界標の関係法令を最後に載せておきました。

その後、舗装路を歩き、車が止めてある、大泉寺まで徒歩で移動ました。(決して無断で駐車しないように)



帰りに、桃太郎公園隣接の栗栖園地に寄りました。ここは、よく手入れされた草地の広場。樋ケ洞川から直接水を引いているじゃぶじゃぶ池があり、小さな魚などもいます。暑い時期には、子供が水遊びをしています。


この池から木曽川寄りに位置する草地は、直火でなければバーベキューやキャンプができます。水場もトイレも一応整っていて、しかも無料。利用の際には、売店に申込書がありますので、きちっと記入して、ルールを守って利用しましょう。

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※ 参考
文化財保護法(昭和二十五年五月三十日法律第二百十四号)
第百十五条  第百十三条第一項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人(以下この章及び第十二章において「管理団体」という。)は、文部科学省令の定める基準により、史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲いその他の施設を設置しなければならない。

史跡名勝天然記念物標識等設置基準規則(昭和二十九年六月二十九日文化財保護委員会規則第七号)
(境界標)
第四条  法第百十五条第一項 の規定により設置すべき境界標は、石造又はコンクリート造とする。
2  前項の境界標は、十三センチメートル角の四角柱とし、地表からの高さは三十センチメートル以上とするものとする。
3  第一項の境界標の上面には指定又は仮指定に係る地域の境界を示す方向指示線を、側面には史跡境界、名勝境界又は天然記念物境界の文字(特別史跡境界、特別名勝境界又は特別天然記念物境界の文字とすることを妨げない。)及び文部科学省の文字を彫るものとする。
4  第一項の境界標は、指定又は仮指定に係る地域の境界線の屈折する地点その他境界線上の主要な地点に設置するものとする。
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2007.06.23 の犬山遊歩 (上から順に)

犬山城と木曽の流れ  (別ウィンドウ)
栗栖マンガン鉱山跡探索  (別ウィンドウ)
桃山の御料局三角点、宮標石